10月21日の「文化会館と遊ぼう」における、WAP関連企画の中でも、最も注目だったのがコレ。
シンブンシャ・プロジェクトなど、足尾ではもうお馴染みの海老由佳子が、
当日集まった参加者たちと何が起こるかわからないダンス(?)をつくりあげました。
文化会館エントランスにあたるアトリウム内を所狭しと、
誰がダンサーなのか、どこが舞台なのかわからないほどに駆け回り、
それまで(良い意味で)ゆる〜く歌謡ショーなどが行なわれていた場の空気を、一瞬で騒然とさせ、
そして最後には晴れやかな風を吹き込みました。
たった10分ほどの短いステージながら、
当日参加した全員が気持ちの良い緊張感の中で、それぞれに即興的なコミュニケーションをとり、
「なぜこの場所で?」や「なぜこんなことを?」という問いかけに
「回答」するのでもなく、「理解」させるのでもなく、「いま、ここで」という事実を突きつけ、
場にいる(観客もダンサーも)全員が、バラバラでいて同じ空気の中で呼吸をする。
小さくて短いステージ、そして十分な準備もされていなくて、
本当に「それ」ができあがるのか、不安感の中に独特な高揚感もあり、
おそらくこれは、2006年にWAPが始まってから、常に持ち続けてきたもの。
そして、これまでの中で(ともすれば)忘れようとしていたもの。
本展"PARADE"の最終日に相応しい、原初の感覚をもう一度確かめることのできるものでした。