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南橋社宅での展示について
 

足尾:南橋(なんきょう)社宅で展示に使用している棟は、かなりいわくつきの場所だったのですが、
宮嵜浩、井崎菜々の展示する「16号棟」は相当なものです。



宮嵜が展示を行なっている2部屋は、集落で葬祭などがあった際の会場として使っていたこともあり、
いつもキレイにされていましたが、
井崎が展示を行なっている部屋は、かつて「ゴミ屋敷」と呼ばれていました。




井崎菜々 展示場所の最後の住人、Y口さんは、
足尾銅山閉山後、鉱夫から(おそらく)教師に転職し、妻と娘と3人で、南橋に暮らしていました。

しかし(詳しくは書けない)『あること』をきっかけに、妻は娘を連れて南橋を出て行き、それを境に、
Y口さんは塞ぎ込み、小綺麗にしていた家も、だんだんとゴミ屋敷のようになり、
南橋の他の住民ともほとんど会話すること無く、そこを訪れるのは数匹の野良猫だけとなりました。


あるとき、Y口さんが路地で発作をお越し倒れ、五十嵐さん(南橋在住、宮嵜作品にある意味で登場)がそれを発見し、
南橋の人達で病院に担ぎ込んだそうですが、結局、二度と南橋へ帰ることはなく亡くなり、
南橋の人々で葬儀も済ませ、引き取り手のなくなった遺骨だけが、どこへも行き場なく、南橋に残されていました。


それからしばらく経って、南橋にひとりの若い女性が現れました。

Y口さんの遺骨を引き取り、

「父のことで皆さんにはご迷惑をおかけしましたが、本当に感謝しています。ありがとうございました」と言ったそうです。


WAPでは2010年から南橋を使っていますが、この話は南橋16号棟向かいに住む五十嵐さんからうかがったものです。


ただ、後日談として、ですが、Y口さんは、遺骨を引き取りに来た離縁していた娘とは、結局 一緒に「帰らなかった」のです。


彼はまだ、終の住処だった南橋16号棟に居ます。


2010年に南橋でのレジデンスに参加したアーティストは、Y口さんと「会って」いますし、
そのことは南橋の他の住民も感知しています。
ただ、それは恐怖の対象ではありません。


WAPの展示会場は、その大半が「間借り」させてもらっているのであって、その場所で姿が見えようと見えまいと、
そこに居る「誰か」と、作品やアーティストは同居しています。





南橋は、足尾銅山の社宅(鉱夫住宅)として成立し、しかし現在は市条例により「特別市営住宅」という位置づけとなっています。

人口減少と建物の老朽化を背景に、新規の住民の受け入れを行なわない、というもので、
南橋地区全体が「特別市営住宅」に指定されています。

現在の南橋地区の高齢化率は94%、あと10数年後には、おそらく大半の住民が去っていきます。

つまり、現在の住民を最後に、南橋という地区自体が消滅することが宿命づけられた場所なのです。


南橋の人々は、誰が、集落の最期を見届けるのか(つまりは誰が「最後のひとり」になるのか)、
そうした約束のもと、残った時間とそれぞれの人生を、それでも明るく過ごしています。

集落の未来を諦めること、それさえとうに過ぎ去ったからこそ、もう何も迷う必要はなく明るく過ごせるのでしょう。



亡くなってもなお南橋に「住み続けて」いるY口さん、彼がまだそこに居続ける理由は、
南橋の他の人々と一緒に、その集落の最期を見届けようとしているからなのかもしれません。





最盛期の人口が4万人近く、約100年でそれが2,500人程度まで激減した足尾では、この南橋のような状況が、
これまで何度も繰り返し演じられてきました。


足尾という土地の宿命、もしく永遠の命題のようなものに、いま立ち会っていることが、WAPにおける、南橋という場での展示の最大の意義となります。




中村岳は、倒壊した長屋を再構築して、南橋という集落の繋がりを可視化し、
石井香菜子は、誰かが置き忘れた風景から、その場所での不在の存在を立ち上がらせました。

宮嵜浩は、そこにまだ住む人々の日常が、何処よりもドラマティックであることを認識させ、
井崎菜々は、居なくなった人々の「眠り」とその場所の在処を示しました。

そして、円桃子による展示では、消滅が宿命づけられた場に産声が鳴り響きます。






ーーーー





WATARASE Art Project 2012 "PARADE"

南橋社宅の展示は10月21日(日)まで、

土日祝祭日 10:00〜17:00まで公開しています。



本展を最後に、南橋の「空き家」はすべて取り壊しになる可能性があります。

会期もちょうど半分が過ぎたところですが、ぜひご観覧にお越しください。
posted by 事務局 at 14:55 | 2011-2012 | comments(0) |
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WATARASE Art Project は 群馬県桐生市から栃木県日光市足尾町を繋ぐ「わたらせ渓谷鐵道」の沿線で、アーティスト主体で行なわれている現代美術(ART)とAIRのプロジェクトです。

『僕たち私たちは、敢えて空気を読みません』

アーティストと地域住民とが「ゆるい連携」をつくり、地域をアーティストの視点から、現代美術を地域性という視点から、捉え直し、相互の価値の革新を試み続けています。
ともすれば「地域づくり」≒「地域こわし」かもしれません。しかし、地域の固定概念を壊す、そんな『創造的破壊』を目指します。

WATARASE Art Project Official Web-site



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