2011年3月11日、東北地方および関東地方を中心に、東北地方太平洋沖地震(東北関東大震災)が発生し、
丸1日以上が経過した3月13日未明の現在でも、未だ被害の全容は把握されていません。
甚大な被害のあった地域の方、また避難されている方、
家へ帰れずにいる方、ご家族に行方不明の方がいる…など、皆様のご無事をお祈りします。
そして、犠牲となった方へのご冥福をお祈りします。
まだ多くの方が困難と不自由を強いられたままで、
報道やソーシャルメディアを通じて様々な情報が飛び交っていますが、未だ混乱している地域も多くあります。
いま、様々な支援の輪が、日本のみならず国際的に広がっています。
ただ、何かをしなければならないと思い行動する善意は賞賛に値しますが、
他者にもその善意を強要するのは、同時に悪意をも発生させかねません。
もし仮に、目の前に、直接的に助けを呼ぶ人がいるのなら、手を差し伸べるべきと思いますが、
そうした人が目の前にいるわけでなければ、
錯綜する情報に踊らされ、表面的な善意という大きな流れに飲み込まれてしまうことは、
それが被害を受けられた地域、そこに住む人にとって、必ずしも有益ではなく、偽善的な行動になってしまうかもしれません。
「支援」としてできることは、すべての人に等しいものではなく、それぞれに違うものでしょう。
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WATARASE Art Project は、アーティスト主導で行なうアートプロジェクトとして、
ワタラセという地域(群馬県桐生市・みどり市、栃木県日光市足尾町)を、
現代美術作品などを制作する場としてきました。
現在ひきつづき情報収集中ではありますが、幸いにも私たちの活動を行なう地域は、
さほど大規模な被害を受けてはいないようです。
しかし甚大な被害を受けた地域の報道に胸が痛み、何らかの手助けをしなければならない…と
思えてなりません。
その中で、私たち(仮にそれを「アーティスト」とするなら)には何ができるのでしょうか。
アーティストひとりひとりの力は本当に小さなものに過ぎず、
そして何ら、被害に遭われた方を直接的に救うための有効な術を身につけていません。
アーティストはこの状況下で、無力で何もできない…と思われるでしょう。
しかし、私たちはそれでも「作品 - 物や事を『つくる』こと」ができます。
もし、この記事を読んでいる方がアーティストなどの表現行為を行なう人であり、
また大きな被害を受けられた地域に住んでいるのでなければ、
いつもの、日常と変わらずに「作品」をつくり続けてください。
また、もし、甚大な被害を受けられた地域にお住まいのアーティストでしたら、
表現を行なうことを決して諦めないでください。
私たちがいつもと変わらずに、表現行為を継続(しようと)することで、
見ず知らずの誰かに勇気を与えることができるかもしれません。
未曾有の大災害という状況下では不謹慎に思われるかもしれませんが、
<アートが社会にできること>を考え込んでしまうのではなく、
またこれ見よがしに<表現の力>を偽善的に振りかざすのでもありません。
「まず、できること」として、
アーティストの『つくる』という「日常」を取り戻し、それこそ「堂々と」「作品」を制作することは、
広がった不安を収束し、多くの人が一日でも早く平穏な日々に戻ることに繋がると思います。
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WATARASE Art Project は、地域で活動を行なうアートプロジェクトでありながら、
敢えて「地域のために」という言葉を用いずに、「アーティストが自由に表現する場」として
(必ずしもその言葉通りにはならない場合もありましたが)活動を継続してきました。
それゆえに、私たちは「まず、できること」として、『つくる』を前提としてしまうのかもしれません。
しかしそれが、困難に窮している人の無事と平穏な日々が戻ることへの、私たちなりの『祈り』でもあります。
アーティストにとっての「Pray for Japan」は、もしかしたら『PLAY for Japan』であるのかもしれません。
私たちは、困難な状況が続いたとしても、でき得る限り、
「WATARASE Art Project 2011-2012」において予定されているプログラムを遂行する所存です。
ご理解とご協力をお願いいたします。
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再度となりますが、被災された皆様のご無事と、犠牲となった方々のご冥福をお祈りします。