7月のリサーチ報告です。まずは前半(上旬)ということで。
最初の画像は「水沼駅温泉センター」の夕暮れ。
WAPの通年での拠点、赤倉旧マルサン食堂は足尾町(日光市/栃木県)の奥地、
滞在の際は、いつも最寄りの深沢共同浴場(足尾銅山時代のコミュニティの名残である共同風呂)を、
WAP参加アーティスト、スタッフは特別に使わせてもらっていますが、
日曜日は共同浴場が休みのため、水沼(桐生市黒保根町/群馬県)などの温泉まで行ったりします。
水沼は河童の伝承やら、養蚕農家やら、いろいろとおもしろい要素があるけど、
まだWAPとしても未開拓の場所です。
さて、こちらは花輪(みどり市東町/群馬県)のお隣の荻原地区の風景。
のどかな田園。稲がすくすく育っていますが、山の向こうでは雲もすくすく育っています。
7月になり、毎日のように夕立が降る現地ですが、
雨が降った後の、潤っていく土の匂いは、何とも言えず、夏を感じます。
荻原地区は、2009年に門眞妙が展示をしましたが、以降はWAPとして活動を行なっていません。
2011-2012では、足尾に並んで花輪・小夜戸が大きな拠点となっていきそうなのですが、
荻原地区は、小夜戸と同じく農村風景が広がるものの、ちょっと雰囲気が違います。
…これはもう、実際に現地を歩いてみないとわからないのですが、
いろいろ可能性が詰まった土地…と言えるでしょう。
小夜戸では、渡良瀬渓谷沿線唯一の養蚕農家:関口さん宅を訪問。
蚕がちょうど、繭をつくりはじめる絶妙なタイミングでした。
小夜戸地区には、2008年までは5軒の養蚕農家があったのですが、
2009年からは、この関口さん1軒だけになってしまいました。
もう後継者もおらず、また現在、養蚕のみで生計を立てるのは、事実上不可能だそうで、
伝統的なものであっても、後継者を求めることはしないそうです。
高齢のご夫婦が行なっている、いつ無くなるかわからないこの光景、本当に貴重な体験。
こちらは足尾。
シンブンシャのブログでも書きましたが、シンブンシャキッズに混じって、
若い陶芸家のご夫婦の工房で、オトナも陶芸体験。
足尾の陶芸は、もともとは銅山の坑道を掘り進めるにあたって、
質はあまりよくないものの粘土も掘られることがあり、
また、出稼ぎの鉱山労働者の中には、瀬戸や伊万里、九谷、益子などを出身とする陶芸の技術者もいたそうで、
生活用品や土管などがつくられたそうです。
今でも「足尾焼」として、その技術は継承されています。
※実際は銅山閉山により、足尾で粘土が採れなくなっため、現在は栃木県内の益子から粘土を「輸入」している、ある意味では足尾産益子焼、という皮肉な感じですが…
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このところ、週の大半を足尾で過ごしていますが、まだレジデンスとして明確な制作は
行なっていません。
もう7月下旬、そろそろアーティストたちが渡良瀬に集まり始めます。
(minagawa)