昨年"PARADE"展にて、最終日の桐生でのイベントを飾った「やどりびプロジェクト」。
実は、桐生市の中心市街地の老朽化したアーケードや、増加する空き家・空き店舗などの問題へアプローチする「桐生市まちなか再生総合支援事業」の一環として行われているものでもあります。
2011年秋よりWAPが同事業へオブザーバー参加していることをきっかけに、昨年の"PARADE"展に合わせ、地域の人々により企画されて行われたもので、今年もまた「やどりび」が行われます!
地域の人々が、自分たちの手で、自分たちの住むまちをよりよくしようと試みる「やどりびプロジェクト」は、余所から来た借り物のアートが主役ではない、地域の人々が主体的に、自らアートを生み出していこうと企画・制作・展示を行うアートプロジェクトです。
優れた美術作品を借りてくる、優れたアーティストを招聘する…などで、アートイベントを行うこともできるのですが、その状態では、地域の人々の手に「アート」が実感となって残ることは難しいでしょう。
昨年の「やどりびプロジェクト」の企画段階では、こうしたことが懸念されていました。
また、桐生樹徳中学校・高等学校の美術教諭から、学校の美術教育と地域連携をはかることはできないか、という提案もあり、「やどりびプロジェクト」は、地域の人々の手による自律的かつ自浄的作用としてのプロジェクトで、また、地域の10代にとって、美術という視点を通して地域の問題へと目を向ける教育の場でもあります。
沈降するまちの「あかり」を再び灯すためには、何かを「持ってくる」のではなく、その場所で「つくる」のが重要ではないか、と、ある意味で、アーティスト・イン・レジデンスを主体としたWAPのプロジェクトの進め方、その考えが地域の人々に浸透していった結果なのかもしれません。
「やどりびプロジェクト」のアーティストは、そのほとんどが地域の人々や地元の中学生(一部、高校生)たちです。
それは、とうてい、優れた美術作品には及ばないかもしれません。また、大きな成功を収めるものとは限りません。
ですが、多くの人々を呼び込む、観光を主眼としたアートフェスティバル/アートイベントが、=アートプロジェクトとして認識されがちですが、本来の、アートという視点や手法をもって、何らかの社会的問題や課題に取り組む、アートプロジェクト本来の意味からは、「やどりびプロジェクト」は非常にまっとうなものだと言えます。
「やどりびプロジェクト」はこれからも成長を続けるでしょう。
週末に台風(27号・28号)が近づいているのが気になるところですが、地域の人々のアクティビティが生み出すクリエイティビティである「やどりびプロジェクト」に、ぜひお越しください。